相続放棄の必要書類

相続放棄の必要書類相続放棄の必要書類は、申述人(相続放棄をする方)と被相続人の関係(続柄)によって異なります。

たとえば、被相続人の配偶者(夫、妻)や、子が相続放棄する場合には、それほど多くの戸籍謄本などは必要となりません。ところが、被相続人の直系尊属、兄弟姉妹などが手続きをする際には、必要書類の収集だけでも大変な手間がかかることもあります。

司法書士に相続放棄の手続きを依頼すれば、必要書類の収集もすべて任せることができるので、ご依頼者が詳細を知る必要は無いのですがご参考のために解説します。

1.すべての申述人に共通の提出書類など

(1) 相続放棄申述書

相続放棄申述書のひな形(書式)は裁判所のホームページでも入手できます(相続の放棄の申述書)。ご覧になればおわかりかと思いますが、記入すべき事項はそれほど多くありません。けれども、「申述の理由」欄をどう書くかが非常に重要に意味を持つことがありますし、必要に応じて詳細な事情説明書や、説明資料をつけることもあります。見た目が簡単だからといって、簡単な手続きだと考えるべきではありません。

(2) 被相続人の住民票除票(または、戸籍附票)

(3) 申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本

(4) 収入印紙(800円)

(5) 切手(80円を5枚程度)
  ※裁判所により異なりますから事前に確認します。

※必要書類についての注意事項

戸籍謄本などが同じ場合には1通で足ります。たとえば、被相続人と申述人(相続放棄する方)が夫婦であれば、戸籍謄本は同一です。親子の場合には、未婚の子であれば戸籍謄本は親と一緒ですが、結婚すれば新たに戸籍が作成されるので、それぞれ別の戸籍謄本が必要です。

(ご参考)相続放棄申述書と記載例

2.申述人により異なる提出書類

上記1の共通提出書類のほかに、被相続人と申述人(相続放棄される方)との関係(続柄)に応じて、次の書類が必要です。

2-1.被相続人の配偶者が相続放棄する場合

(1) 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(または、除籍謄本、改製原戸籍)

2-2.被相続人の子(または、その代襲相続人)が相続放棄する場合

(1) 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(または、除籍謄本、改製原戸籍)

申述人が代襲相続人の場合のみ
(2) 被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

※代襲相続人とは

代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった子が、相続開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときに、その子(被相続人の孫、ひ孫など)が代わって相続することです。この代襲相続により相続人となった人(孫、ひ孫)を代襲相続人といいます。代襲相続は、兄弟姉妹が相続人であった場合にも生じます。

2-3.被相続人の直系尊属が相続放棄する場合

直系尊属とは、被相続人の父母、祖父母などのことで、被相続人の子に次ぐ第2順位相続人です。

子が相続放棄したことによって直系尊属が相続人となり、その相続放棄をする場合には、子の相続放棄の際に提出済の書類は不要です。

(1) 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)が相続人となるのは、被相続人に子(または、その代襲相続人)がいないか、または、子の全員が相続放棄している場合です。そこで、被相続人の子の全員(または、子がいないこと)を明らかにするために、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本などが必要となるのです。

被相続人の子(または、代襲相続人)で亡くなっている方がいる場合
(2) その子(または、代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、
 改製原戸籍)

被相続人の子(または、その代襲相続人)で亡くなっている方がいる場合、その代襲相続人の全員(または、代襲相続人がいないこと)を明らかにします。そのため、被相続人の亡くなっている子(または、その代襲相続人)についての、出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本などが必要となるのです。

被相続人の直系尊属に亡くなっている方がいる場合
(3) その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本などが必要なのは、申述人(相続放棄する方)より下の代の直系尊属が亡くなっている場合です。たとえば、被相続人の祖母が申述人となる場合、祖母より下の代である、父母の死亡の記載のある戸籍謄本等が必要です。被相続人の祖母が相続人となるのは、下の代である父母がいずれも死亡している場合に限られるからです。

2-4.被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲相続人)が相続放棄する場合

被相続人の子、直系尊属などが相続放棄したことによって、兄弟姉妹が相続人となり、その相続放棄をする場合には、子、直系尊属の相続放棄の際に提出済の書類は不要です。

(1) 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

被相続人の子(または、代襲相続人)で亡くなっている方がいる場合のみ
(2) その子(または、代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、
 改製原戸籍)

(3) 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

申述人が代襲相続人(おい,めい)の場合のみ
(4) 被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

被相続人の兄弟姉妹が相続人となるのは、先順位相続人である、被相続人の子(または代襲相続人)および直系尊属がいない(または、その全員が相続放棄している)場合です。そこで、先順位相続人の全員を明らかにするために、上記のとおり数多くの戸籍謄本などが必要になるのです。

※代襲相続人とは

代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった兄弟姉妹が、相続開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときに、その兄弟姉妹の子(被相続人のおい、めい)が代わって相続することです。この代襲相続により相続人となった人(おい、めい)を代襲相続人といいます。代襲相続は、子、孫が相続人であった場合にも生じます。

関連情報(相続放棄の基礎)

  1. 相続放棄とは(相続の承認・放棄の選択)
  2. 誰が相続人となるのか(法定相続人)
  3. 相続放棄手続きの流れ
  4. 相続放棄の必要書類
  5. 未成年者(または、被後見人)が相続放棄する際の特別代理人選任

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