誰が相続人となるのか(法定相続人)
誰が相続人となるのかは法律(民法)により定められています。法定相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続の承認・放棄を選択します。
また、順位が前の相続人全員が相続放棄をすると、次順位の人が相続人となります。子の全員が相続放棄すれば、次順位である直系尊属(または、兄弟姉妹)が相続人となります。
1.法定相続人とその順位
法定相続人とは、法律により定められた「被相続人(亡くなられた方)の権利や義務を相続する人」のことです。一般に「相続人」と「法定相続人」とは、同じ意味で使われていますので、以下は「相続人」と表記します。
誰が相続人となるのかは、次のように決まります。
まず、被相続人に配偶者(夫、妻)がいれば、その配偶者は必ず相続人となります。そして、被相続人の子、父母、兄弟姉妹などが、次の順位で配偶者とともに相続人になります。
被相続人に配偶者がいない場合には、被相続人の子(または、その代襲者)、直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)、兄弟姉妹(またはその代襲者)が、次の順位により単独で相続人となります
第1順位 被相続人の子供(または、その代襲者)
第2順位 被相続人の直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母 ・・・)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲者)
相続人の決まり方について、くわしい解説は下記をご覧ください。
第1順位相続人 被相続人の子(または、その代襲者)
被相続人に子がいれば、相続人となります。実子でも養子でも、子であれば皆が相続人です。また、婚外子(非嫡出子)であっても、認知していれば相続人です。
もしも、被相続人である親(父、または母)よりも先に死亡している子がいる場合、その子に子(被相続人からみると孫)がいれば、子の代襲者として相続人になります。さらに、子の子も亡くなっている場合で、その子に子(被相続人からみるとひ孫)がいるときには相続人となります(再代襲)。
なお、子が相続放棄した場合に、その子(被相続人の孫)が相続人となることはありません。相続放棄により代襲相続が生じることはないからです。
第2順位相続人 被相続人の直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)
第1順位相続人である子(およびその代襲者)がいない場合には、第2順位である直系尊属が相続人となります。第1順位の相続人が全員相続放棄した場合も同様です。
直系尊属は親等が近い方から相続人となります。父母(または、父母のいずれか)が存命であれば相続人となるので、同時に祖父母(または、祖父母のいずれか)が相続人となることはありません。
ただし、親等が近い直系尊属が相続放棄により存在しなくなったときには、次の親等の直系尊属が相続人となります。たとえば、父母が相続放棄した場合、祖父母が存命であれば相続人となります。
次の順位の人が相続人となるのは、直系尊属の全員が死亡しているか、または、相続放棄をした場合に限られます。
第3順位相続人 被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲者)
第1順位相続人、第2順位相続人のいずれもいない(または、全員が相続放棄した)場合には、第3順位である被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
また、兄弟姉妹の誰かが、被相続人よりも先に亡くなっている場合、その兄弟姉妹に子(被相続人のおい、めい)がいれば代襲者として相続人になります。ただし、兄弟姉妹については再代襲はしないので、おい、めいの子が相続人となることはありません。
なお、兄弟姉妹が相続放棄した場合に、その子(被相続人のおい、めい)が相続人となることはありません。相続放棄により代襲相続が生じることはないからです。
2.先順位相続人の全員が相続放棄した場合
先順位相続人の全員が相続放棄すると次順位者が相続人となります。たとえば、子が2人いたとして、そのうちの1人が相続放棄をしても、次順位者である直系尊属は相続人にならず、相続放棄しなかった子のみが相続人となるだけです。子が2人とも相続放棄した場合にのみ、次順位者である直系尊属が相続人となるのです。
直系尊属が相続人である場合、父母のうち一方が相続放棄したときには、相続放棄しなかった父、または母のみが相続人となります。そして、父母がともにいないか相続放棄した場合には、祖父母が存命であれば相続人となります。
次順位である兄弟姉妹が相続人となるのは、直系尊属の全員が死亡しているか、または、相続放棄をした場合に限られます。
なお、先順位相続人が相続放棄したことにより相続人となった場合の、相続放棄ができる期間は先順位相続人が相続放棄をしたことにより、自分が相続人となったのを知った時から3ヶ月間です。被相続人の死亡の時から3ヶ月間ではありませんから、慌てずに手続きをすることができます。
(最終更新日:2013年6月13日)