亡くなったことも知らなかった親族の相続に関連して、市役所から「指導書」との表題の文書が届いたとのご相談です。文書には次のように書かれています。

指導書

あなたの相続対象である、下記空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第2条第2項に定める「特定空家等」に該当すると認められたため、法第14条第1項の規定により、下記のとおり指導します。

そのまま放置していると倒壊等の危険がある空家について、その所有者が死亡しているために、相続人に対して建物の構造上の補強、又は除去などをするよう指導が来たということです。

亡くなったことも知らなかった親族であるわけですから、その所有する家屋が空家になっていることも知る由がないわけですが、市町村としては相続人を調査して何とかするように指導することになっているのです。

上記の指導書に書かれている、空家等対策の推進に関する特別措置法の規定は次の通りです。

空家等対策の推進に関する特別措置法

第2条第2項 この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

第14条第1項 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。

特定空家等の所有者が死亡していれば、その相続人が上記のような義務を負ってしまうわけです。

しかし、そのような場合であっても、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすれば、特定空家等の所有者の相続人としての義務を負うこともなくなります(下記に追記あり)。

このような通知書(指導書)が市町村から届いたときには、被相続人の死亡から長い年月が経っている場合もあるでしょう。けれども、通知書が届いたことにより、被相続人の死亡の事実を知ったのであれば、その時から3ヶ月以内であれば相続放棄が可能であると考えられます。

相続放棄をするのではなく、相続人としてその土地家屋を相続した上で、建物の修繕等を行うことももちろん可能です。しかし、市町村から指導が来たような空家を相続したいという方は少ないでしょう。

どうしたらいいか分からないときは、専門家(司法書士、弁護士)へ早急に相談することをお勧めします。当事務所でもご相談を承っていますから、事前にご予約のうえご相談にお越しください。

(2019年12月 追記)
空家等対策の推進に関する特別措置法では、特定空家等の「所有者等」に対して、周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を撮らせるものとしています。この所有者等とは「所有者又は管理者」を指すので、相続放棄をした場合であっても、「管理者」として指導などの対象とされることもあるようです。