被相続人に子供がいない(または、相続人である子の全員が相続放棄をした)場合、父母が相続人となります。そして、被相続人の父母が相続放棄したときには、祖父母(または、祖父、祖母のいずれか)がいれば相続人となります。

被相続人の直系尊属が相続人となるとき、親等の異なる直系尊属の間では、その近い者が先に相続人になります(民法889条1項1号)。よって、親等の近い父母が相続放棄した場合には、次に親等の近い祖父母が相続人となります

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。父母が相続放棄した場合、相続に関しては、相続人となるべき父母がいないのと同じことになるので、祖父母が相続人になるわけです。

父母が相続放棄すると祖父母が相続人に

上の図では、被相続人に父母がいますが2人とも相続放棄をしました。この場合、存命の祖母が相続人となるわけです。よって、祖母も相続放棄をしようとするときには、家庭裁判所で手続きをする必要があるのです。

子が相続放棄したときとの違い

被相続人の子が相続放棄した場合、その子に子(被相続人の孫)がいても相続人になることはありません。

被相続人の直系尊属が相続人となるときのように、「親等の異なる直系卑属の間では、その近い者が先に相続人になる」というような規定は存在せず、被相続人の孫が相続人となるのは代襲相続が生じたときのみだからです。

そして、被相続人の子が相続放棄をすることは代襲相続の原因となりませんから、被相続人の子が相続放棄したことにより、孫が相続人になることはないわけです(くわしくは、子供が相続放棄すると孫が相続人になるのかをご覧ください)。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

第889条 次に掲げる者は、第887条(子及びその代襲者等の相続権)の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一  被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする

二  被相続人の兄弟姉妹

2 第887条第2項(代襲相続)の規定は、前項第二号の場合について準用する。