相続放棄申述受理の効力は絶対なのか

家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたからといって、その効力が絶対的なものであるとは限りません。ある人の相続放棄申述が受理されたことを不服とするならば、相続放棄申述の実体要件を欠くとして民事訴訟手続きで争うこともできます。その結果、相続放棄の申述受理が無効だと判断されることもあるわけです。


相続放棄申述受理の効力は絶対なのか(目次)
1.相続放棄申述が受理されたことの意味
2.どんな場合に、相続放棄の実質的な要件を欠くとされるのか
 2-1.相続放棄の申述が法定期間内にされたこと
 2-2.法定単純承認の事由がないこと

1.相続放棄申述が受理されたことの意味

相続放棄は、相続人が申述し、それを家庭裁判所が受理することによって効力を生じます。そして、この家庭裁判所における相続放棄申述受理の審判は、相続放棄の意思表示を裁判所が公証する行為であるとされています。

相続放棄申述の受理は相続放棄の申述のあったことを公証する行為であって裁判でない(大阪高決昭和27年6月28日)。

つまり、相続放棄の申述が受理されたとしても、相続放棄の実体的な要件を備えていることが確定するわけではなく、相続人の放棄の意思表示があったことが公に証明されるだけなのです。

実際の家庭裁判所においても、却下すべきことが明らかな場合以外は相続放棄の申述を受理すべきであるとして、実務がおこなわれています。そのため、相続放棄申述が受理されたからといって、相続放棄ができる実体要件を満たしているとは限らないのは当然です。

相続放棄の申述がされた場合、相続放棄の要件の有無につき入念な審理をすることは予定されておらず、受理がされても相続放棄が実体要件を備えていることが確定されるものではないのに対し、却下されると相続放棄が民法938条(相続の放棄の方式)の要件を欠き、相続放棄したことを主張できなくなることにかんがみれば、家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述を受理すべきであると解される(東京高決平成22年8月10日)。

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2.どんな場合に、相続放棄の実質的な要件を欠くとされるのか

相続放棄が受理されるために必要な、実質的な要件とは、(1)相続放棄の申述が法定期間内にされたこと、(2)法定単純承認の事由がないことの2つです。

2-1.相続放棄の申述が法定期間内にされたこと

相続開始(被相続人の死亡)から3ヶ月以内に相続放棄申述がなされたのであれば、法定期間内であることは明らかです。

問題になることがあるのは、相続の開始、および自分が相続人となったことを知った時から3ヶ月が経過しているものの、後になって予想外の債務が発覚した場合などで、特別な事情があるとして相続放棄申述をしたようなときです。

このようなケースでは、相続放棄申述が受理されていたとしても、その後に、被相続人に対する債権者から、債務の存在を知らなかったはずが無いとして、その申述受理の効力が争われることも考えられます。

2-2.法定単純承認の事由がないこと

たとえば、相続財産の処分をしてしまった場合には、その時点で相続を単純承認したものとみなされますから、その後に相続放棄申述をしても却下されることになります。

ただし、法定単純承認の事由に該当するような行為をおこなってしまった後でも、その事実を隠して相続放棄申述をすれば、家庭裁判所に受理されてしまうこともあるでしょう。家庭裁判所において、相続放棄の要件の有無につき、入念な審理がおこなわれるわけではないからです。

つまり、相続放棄の実質的な要件を欠いているにもかかわらず、相続放棄の申述が受理されてしまっているということです。このようなときには、相続放棄申述受理の効力を民事訴訟手続きで争うことが可能です。

相続放棄の申述の受理は,家庭裁判所が後見的立場から行う公証的性質を有する準裁判行為であって,申述を受理したとしても,相続放棄が有効であることを確定するものではない。相続放棄等の効力は,後に訴訟において当事者の主張を尽くし証拠調べによって決せられるのが相当である(大阪高決平成14年7月3日)。

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