1.相続放棄すると生命保険の死亡保険金は受け取れませんか
相続放棄をしても生命保険の死亡保険金は受け取れることが多いです。たとえば、生命保険契約において特定の保険金受取人が指定されているときには、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金を相続するわけでは無く、生命保険契約にもとづいて保険金受取人としての固有の権利により受け取るからです。
(続き)相続放棄と生命保険金
2.相続放棄すると代襲相続しますか
被相続人の子が相続放棄した場合に、相続放棄した子の子(被相続人の孫)が相続人となることはありません。父である被相続人Aよりも、その子であるBが先に亡くなっている場合で、Bには子C(被相続人Aの孫)がいたとします。この場合、CはBの代襲者として、Aの相続人となります。
(続き)相続放棄と代襲相続
3.再転相続の相続放棄(熟慮期間の起算点、放棄・承認の選択)
相続人が承認・放棄をしないうちに死亡し、さらにその子供が相続人となったような場合を再転相続といいます。再転相続の熟慮期間は、「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算されます。
(続き)再転相続の相続放棄
4.相続放棄の書類に署名押印したのですが(遺産分割協議書、特別受益証明書)
相続放棄は家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出することにより手続きをしなければ、法的な効力はありません。ほかの相続人や、手続きを担当する司法書士や弁護士から求められて書類に署名押印をしたから、自分は相続放棄をしたはずだと勘違いされている方もいらっしゃいます。
(続き)特別受益、相続分の無いことの証明
5.相続人が未成年の場合、誰が相続放棄の手続をするのですか
法定相続人が未成年者であっても、成人である場合と同様に、被相続人の権利義務の一切を相続します。そのため、被相続人が債務超過の状態であるときには、未成年者についても相続放棄の手続きが必要なこともあります。
(続き)相続人が未成年の場合
6.他の相続人が相続放棄しているか不明な場合
ある相続人(または、法定相続人であった人)が相続放棄(または、限定承認)をしているかどうかが不明な場合、家庭裁判所にその有無を照会することができます。相続放棄・限定承認の申述があれば、その事件番号、受理年月日等が回答され、申述が無い場合にはその旨の証明書が交付されます。
(続き)相続放棄申述の有無についての照会
7.相続放棄の手続きは自分でできますか
相続放棄の手続きを自分でしようと考えている方からのお問い合わせを多数いただいています。家庭裁判所へ行ったり、インターネットで調べてみたりすれば、だいたいの情報を手に入れることは出来ます。それでも、少し心配なことがあるので問合せをしてみたというケースがほとんどです。ネットには情報が溢れていますが、専門家の目から見れば明らかに誤りであるものも多く見かけます。また、書かれていることは正しいとしても、それを間違って理解されている方も非常に多いです。
(続き)相続放棄の手続きは自分で出来る?
8.相続放棄申述受理の効力は絶対なのか
家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたからといって、その効力が絶対的なものであるとは限りません。ある人の相続放棄申述が受理されたことを不服とするならば、相続放棄申述の実体要件を欠くとして民事訴訟手続きで争うこともできます。その結果、相続放棄の申述受理が無効だと判断されることもあるわけです。
(続き)相続放棄申述受理の効力は絶対なのか
9.相続放棄申述の取消し(撤回)は出来るのか?
相続放棄の申述が家庭裁判所によって受理され、相続放棄の効力がいったん生じた場合、後になって取消し(撤回)をすることは原則として許されません。相続放棄申述の撤回が許されるとすれば、他の相続人や利害関係のある第三者の地位が不安定なものとなるからです。
(続き)相続放棄の取消しの申述が出来る場合
10.相続放棄は被相続人の生前にできるのか?
この家庭裁判所での相続放棄手続きは、自己のために相続の開始があった後におこなうべきものですから、被相続人の生前に相続放棄することはできません。たとえ、多額の債務を抱えて明らかに債務超過の状態にあるため、その人が死亡した際には相続放棄することが確実な場合であったとしても、生前に相続放棄をすることは出来ないのです。
(続き)相続放棄は被相続人の生前にできるのか
11.遺贈の放棄は出来るのか?(包括遺贈の放棄の申述)
遺贈とは、遺言により遺言者の財産を贈与することで、包括遺贈と、特定遺贈に分けられます。包括遺贈、特定遺贈のどちらのであるかによって、放棄の方法が異なります。包括遺贈の場合には、遺言者の債務も引き継ぐことになりますから、放棄・承認の選択が重要になることがあります。
(続き)遺贈の放棄は出来るのか
12.相続人の一部が相続放棄した場合の、債務の負担について
複数いる相続人の1人が相続放棄をしたとして、その相続人が負担するはずだった債務が消滅することはありません。相続放棄した人は最初から相続人で無かったものとみなされるので、相続放棄しなかった相続人が全ての債務を負担することになります。
(続き)相続人の一部が相続放棄した場合の、債務の負担について
13.手続きに必要な戸籍(除籍)謄本などの集め方
家庭裁判所へ相続放棄の申述受理申立をする際には、被相続人の住民票除票(または、戸籍附票)、および死亡の旨の記載のある戸籍謄本(除籍謄本)を必ず用意しなければなりません。けれども、戸籍謄本などは誰でも取れるわけではなく、請求できる人の範囲が戸籍法により次のように定められています。
(続き)手続きに必要な戸籍(除籍)謄本などの集め方
14.相続放棄しても遺族年金は受け取れるのか
相続放棄をしたときでも、遺族年金を受け取ることは可能です。遺族年金は、遺族がその固有の権利にもとづいて受給するもので、被相続人の遺産ではないからです。
(続き)相続放棄しても遺族年金は受け取れるのか
15.相続放棄しても未支給年金は受け取れるのか
相続放棄をしたときでも、未支給年金を受け取ることは可能です。未支給年金は、死亡した年金受給者の「配偶者、子、父母、孫、祖父母、または兄弟姉妹」であって、「死亡の当時に生計が同一だった方」が受給することができます。
(続き)相続放棄しても未支給年金は受け取れるのか
16.相続人全員が相続放棄した場合(誰が財産管理をするのか)
相続人全員が相続放棄した場合で、相続財産の管理や処分が必要となるときには、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらわなければなりません。そして、選任された相続財産管理人が、相続財産の管理、清算をおこなうことになります。
(続き)相続人全員が相続放棄した場合
17.相続財産の存在を知っていた場合の熟慮期間の始期
通常の場合の熟慮期間の始期である、相続開始の原因となる事実およびこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から3か月が経過していても、相続放棄が可能なときがあります。さらに、相続財産の存在を一部でも知っていた場合でも、3か月経過後の相続放棄が認められる場合もあります。
(続き)相続財産の存在を知っていた場合の熟慮期間の始期
18.相続放棄するとお墓はどうなるのか
相続放棄をした場合であっても、お墓などを引き継ぐ権利には影響がありません。お墓などの祭祀財産は相続財産に含まれないからです。したがって、相続放棄者がお墓、仏壇、位牌などを引き継ぐことは可能であり、それにより、相続の単純承認の効果が生じることもありません。
(続き)相続放棄するとお墓はどうなるのか
19.相続放棄と自動車の処分
相続人の全員が相続放棄をしたが、被相続人名義の自動車があるという場合、その自動車はどのように処分すればよいのでしょうか。相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、その相続を単純承認をしたものとみなされますから、被相続人名義の自動車があるときはその処分にあたって注意が必要です。
(続き)相続放棄と自動車の処分
20.相続放棄したことは債権者に通知されるのか
相続放棄することを債権者に知らせる必要はありませんし、裁判所から債権者に通知されるようなこともありません。したがって、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしたのをきっかけとして、その事実がすぐに債権者に知られることは無いわけです。
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21.債権者への対応はどうすればよいのか
債権者から連絡(請求、督促)が入っている場合に、どのように対応したらよいのか頭を悩ませている方からのご相談を多くいただきます。そこで、相続放棄する際の債権者への対応方法についてまとめて解説します。
(続き)債権者への対応はどうすればよいのか
22.相続放棄の手続きは3ヶ月以内に完了する必要があるのか
相続放棄ができるのは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内です。この3ヶ月以内というのは、裁判所で相続放棄申述が受理された時点を指しているのではありません。相続放棄申述受理の申立てが家庭裁判所に受付されたのが3ヶ月以内であれば法定期間内の申立てです。
(続き)相続放棄の手続きは3ヶ月以内に完了する必要があるのか
23.兄弟姉妹の相続放棄(手続き、必要書類)
亡くなられた方(被相続人)の兄弟姉妹が相続放棄する必要があるのはどんな場合でしょうか。兄弟姉妹が相続人となるのは、被相続人に子や直系尊属(父母、祖父母)がいない場合だけではありません。先順位の相続人全員が相続放棄をしたときにも、兄弟姉妹が相続人となります。
(続き)兄弟姉妹の相続放棄
24.法の不知により自己が相続人となったことを知らなかったとき
被相続人の配偶者の連れ子が自分らより先順位の相続人であると信じていた場合に、熟慮期間経過後の相続放棄が認められた裁判例があります。そうであれば、少なくとも誰が相続人であるかという判断に関しては、法律の不知が理由になると判断してもよいかもしれません。
(続き)法の不知により自己が相続人となったことを知らなかったとき
25.相続放棄の手続きは司法書士と弁護士のどちらに相談すべきか
相続放棄の手続きが無事に完了する、つまり、相続放棄の申述が受理されるかどうかでいえば、ほとんどの場合において司法書士と弁護士のどちらに相談しても違いはありません。まず、相続開始から3ヶ月の法定期間内の申立てであれば、適切に手続きをすれば必ず受理されるものですから、司法書士でも弁護士でも通常は全く問題ありません。
(続き)相続放棄の手続きは司法書士と弁護士のどちらに相談すべきか
26.DNA鑑定をする場合の申立期間(相続の開始を知った日)
身元確認のためにDNA鑑定が必要な場合、戸籍に死亡の旨が記載されるのは、DNA鑑定の結果が出た後となります。相続放棄の手続をおこなえるのは、戸籍への記載がなされた後であり、死亡のときから3ヶ月が経過しているかどうかは関係ありません。
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