相続放棄の手続きは自分で出来る?

相続放棄の手続きを自分でしようと考えている方からのお問い合わせを多数いただいています。家庭裁判所へ行ったり、インターネットで調べてみたりすれば、だいたいの情報を手に入れることは出来ます。それでも、少し心配なことがあるので問合せをしてみたというケースがほとんどです。

ネットには情報が溢れていますが、専門家の目から見れば明らかに誤りであるものも多く見かけます。また、書かれていることは正しいとしても、それを間違って理解されている方も非常に多いです。裁判所の手続きはだいたい合っていれば大丈夫というものではありません。自分で手続きをして無事に受理された人が「相続放棄の手続きは簡単だ」と言ったとして、それが誰にも当てはまるとは限らないのは当然です。

相続放棄の手続きなど一生のうちに何度もやるものでは無いでしょう。また、自分で相続放棄の申立てをして却下されてしまったとすれば、それから専門家に依頼したとしても再度の申立をすることはできません。少しでも不安があるならば、自己判断で申立するのでは無く、専門家に依頼することを強くお勧めします。

(目次)相続放棄の手続きは自分で出来る?

1.自分で相続放棄の手続きが可能な場合

2.自分で手続きすべきでない場合

3.照会書・回答書が届いてからのご相談

1.自分で相続放棄の手続きが可能な場合

相続放棄が出来る期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」です。自己のために相続の開始があったことを知った時とは「相続開始の原因である事実」及びそのことにより「自分が法律上の相続人となった事実」を知った時です。

上記の事実を知った時をどのように解釈するかが、相続放棄が出来るか否かを判断するに当たって、非常に重要な意味を持つことがあります。相続開始の原因である事実とは「被相続人の死亡の事実」です。被相続人の生前に相続放棄をすることはできませんから、少なくとも被相続人の死亡の時から3ヶ月以内であれば期限の問題が生じることはありません。

つまり、被相続人の死亡の時から3ヶ月以内であれば、相続人がその真意に基づいて申述する限りは、相続放棄の申述は必ず受理されます。よって、上記のように「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」であることが明らかな場合には、相続放棄の手続を自分でおこなっても大きな問題が生じる恐れは少ないといえます。

ただし、相続放棄は一度やってうまくいかなかったからといって、もう一度やり直すことは出来ない手続です。そのため、絶対に自分でできる自信がある場合を除いては、専門家(司法書士、または弁護士)に依頼することをお勧めします。

また、手続きをするにあたっては、家庭裁判所で相談することもできます。しかし、相談できるのは手続についての形式的な事柄のみで、どうやったら受理されるのかを教えてもらうことはできません。そこで、このページで解説していることの意味が理解できない場合にも、自分で相続放棄の手続きをするのは避けた方が良いと思われます。

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2.自分で手続きすべきでない場合

結論からいえば、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内であることが明らかで、かつ、自分で情報収集することにより自信を持って手続きできるとき以外は、専門家に依頼すべきだといえます。

自己のために相続の開始があったことを知った時である「相続開始の原因である事実」および「自分が法律上の相続人となった事実」を知った時から3ヶ月が経過していても、相続放棄が出来ることもあります。典型的な例では、被相続人の死亡から3ヶ月間が経過した後になって、相続債務の存在が判明した場合です。

このような場合であっても、「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたことにやむを得ない事情がある」ようなときには、相続債務の存在を知ったときから3ヶ月間であれば相続放棄ができることもあります。

ただし、上記のようなケースでは、相続放棄申述書の提出時に資料や事情説明の文書なども併せて提出することで、特別な事情の存在を明らかにする必要がありますから、必ず専門家に相談したうえで手続きする必要があるといえるでしょう。

事実は同じであっても、それをどう解釈し、どう主張するかにより結果が異なる可能性もあります。専門家に頼むのは、事実をねじ曲げようとしたり、巧妙な主張により裁判官を泣き落とそうとするためではありません。ご相談者からお話を伺ったうえで事実を正しく認識し、相続放棄が可能だと判断するときには、それを正確に裁判所へ伝えるべく書面作成をおこなうのみです。

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3.照会書・回答書が届いてからのご相談

3ヶ月経過後の相続放棄申述を自分でおこなったものの、家庭裁判所からの照会書および回答書が届いたときになって、どう回答しよいか分からず相談に来られる方もいらっしゃいます。そうであっても、質問の意味を正確に把握できないまま、ご自分の判断で回答書に記入してしまうよりは、はるかによいといえます。また、事実が同じである以上は、この段階からでも必要に応じて事情説明書などを追加提出すれば問題はないかもしれません。

けれども、家庭裁判所への申立の時点で、申述書などに不適切な記載をしてしまえば、後で訂正しようとしても取り返しがつかなくなる恐れもあります。相続放棄の申述がいったん却下されてしまうと、再度の申述をすることはできません。したがって、まずは自分で申立してみて、うまくいかなかったら専門家に相談するというわけにはいきませんのでご注意ください。

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