相続放棄をしたときでも、遺族年金を受け取ることは可能です。遺族年金は、遺族がその固有の権利にもとづいて受給するもので、被相続人の遺産ではないからです。
原生年金保険法58条は、被保険者の死亡による遺族年金は、その者の遺族に支給することとし、同法59条で妻と18歳未満の子が第1順位の受給権者としているが、同法66条で妻が受給権を有する期間、子に対する遺族年金の支給を停止すると定めている。そして、妻と子が別居し生計を異にした場合でも分割支給の方法はなく、その配分の参考となる規定はない。厚生年金法は、相続法とは別個の立場から受給権者と支給方法を定めたものとみられ、妻が支給を受けた遺族年金は、同人の固有の権利にもとづくもので、被相続人の遺産と解することはできない(大阪家庭裁判所昭和59年4月11日審判)。
なお、遺族年金が支給されるのは次のような場合です。くわしくは日本年金機構の年金の受給(遺族年金)のページをご覧ください。
1.遺族基礎年金
国民年金に加入中の方が亡くなったとき、その方によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)のいる妻」、または「子」に遺族基礎年金が支給されます。
2.遺族厚生年金
厚生年金に加入中の方が亡くなったとき(または、加入中の傷病がもとで初診日から5年以内に亡くなったとき)、その方によって生計を維持されていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母の中で優先順位の高い方)に遺族厚生年金が支給されます。