相続放棄に関連する記事のご紹介です。

亡くなったおやじがアパートの保証人になっていた」 見ず知らずの人の家賃滞納分まで“相続”してしまったら(2015年9月10日付 日経ビジネスオンライン)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条本文)。したがって、被相続人がアパートの賃貸借契約についての保証人になっていた場合、その保証人としての義務も引き継ぐことになります。

アパートの賃貸借契約の保証人になっていたとしても、本人以外が知ることは困難です。よって、被相続人の生前に知らされる機会が無かったとすれば、後になって突然請求が来ることもあり得るわけです。

詳しくは記事をお読みいただくとして、少しだけ補足です。記事中には次のような記述があります。

問題は、少額の預貯金程度しか相続財産がなかった場合です。保証債務があるなら相続放棄をした方がマシだというケースもあるでしよう。こういったケースでも、借金の保証債務とは異なり、自分の親が賃貸借の保証人になっていることは、なかなか分からないものです。保証人になった本人も、自分が保証人になったことなど忘れてしまっているケースも多いでしょう。

もしも、少額の預貯金程度しか相続財産がなく、保証債務があることを最初から知っていたならば、間違いなく相続放棄をしていたはずだったとします。このような場合には、少額の預貯金を相続し処分してしまった後であっても相続放棄が認められることもあります。

「相続人が、多額の相続債務の存在を認識しておれば、当初から相続放棄の手続を採っていたものと考えられ、相続人が相続放棄の手続を採らなかったのは、相続債務の不存在を誤信していたためである」ことを前提にして、遺産分割協議をおこなった場合でも、法定単純承認事由に該当しない場合があると判断した裁判例があります(大阪高等裁判所平成10年2月9日決定)。

これによれば、被相続人がアパートの賃貸借契約の保証人になっていることを知った時から3か月以内であれば、相続放棄をすることが可能だとも考えられます。くわしくは、遺産分割協議と法定単純承認のページも参考にしてください。また、実際に相続放棄が出来るかの判断が必要な際は、お早めにご相談ください。