相続放棄の申立は、被相続人に借金が多い(債務超過である)場合におこなわれることが多いですが、家庭裁判所への申立前に借入先や負債の額を調査する必要があるのでしょうか?

相続放棄申立前に調査が必要な場合

結論から申し上げると、相続放棄の申立をする際に、必ずしも被相続人の正確な負債の状況などを調べなくとも問題はありません。

もちろん、資産よりも負債の方が多い場合にのみ相続放棄をするというのであれば、事前に負債内容の調査が必要になることもあるでしょう。しかし、債務超過であることが明らかならば、負債の調査をおこなわずに相続放棄をしてしまっても一向に差し支えないでしょう。

そもそも、被相続人に借金が多い(債務超過である)のが、相続放棄をするための条件ではありません。被相続人に資産がある場合であっても、自分は遺産を引き継がないことを望むなら、相続放棄できるわけです。

相続放棄申述書への「相続財産の概略」の書き方

家庭裁判所へ提出する相続放棄申述書には「相続財産の概略」を書きます。ここには「負債 約  万円」のように負債を書く欄もあります。被相続人の負債状況の調査が不要であるとして、負債の額はどのようにすれば良いのかとの疑問が生じるかもしれません。

これは、負債の額が分からなければ「不明」とでも書いておけば問題ないでしょう。負債の額が分かれば正確な金額を書けば良いですが、分からなければ書きようがありません。このような場合に適当に負債の額を書いても仕方ありませんし、書くべきではないです。

相続放棄の手続きは司法書士にご相談ください

上記のように相続財産の概略は分かる範囲で書けば問題ないはずですが、少しでも不安があれば専門家(司法書士、弁護士)に依頼をして手続きを進めることをお勧めします。

家庭裁判所での手続きは、結果だけを見れば簡単に感じられるものもあります。けれども、専門家の役割はその結果に確実にたどり着くためのお手伝いをすることです。とくに、多額の債務を引き継がないために相続放棄をするのであれば、専門家に報酬を支払ってでも確実に受理されるべきだといえます。