被相続人が連帯保証人になっていた場合、その連帯保証人としての責任は相続人に引き継がれます。そこで、連帯保証債務を相続したくないときには相続放棄をする必要があります。

被相続人の借入についての連帯保証人になっていたときには、相続放棄をしても連帯保証人としての責任から逃れることはできません。連帯保証債務を相続するわけでは無く、債権者と連帯保証人との保証契約に基づくものだからです。

1.連帯保証人が死亡した場合の、連帯保証債務の相続

相続人は、被相続人の遺産を相続しますが、そこにはプラスの財産だけでなく負債(債務、借金)も含まれます。被相続人が連帯保証人になっていた場合の連帯保証債務についても相続人に引き継がれるのが原則です。したがって、各相続人がその法定相続分に応じた割合で連帯保証債務を負担することとなります。

相続人間で、特定の相続人だけが保証債務を引き受けるとの遺産分割協議をすることもできますが、そのような相続人間の合意をもって債権者に対抗することはできません。つまり、債権者としては相続人による遺産分割協議にしたがうことなく、各相続人への請求をすることが可能なのです。

ただし、債権者からの承諾が得られれば、特定の相続人が債務を承継し、他の相続人が債務の負担を免れることもできます。その際には、債権者(金融機関など)の承諾を得たうえで遺産分割協議をする必要があります。債権者の合意が得られない場合や、すべての相続人が連帯保証債務から逃れようとするときには、相続放棄を検討します。

2.相続人が連帯保証人になっていた場合

連帯保証人としての義務は、債権者と連帯保証人の間の「保証契約」に基づくものであり、主債務者と債権者との間の「金銭消費貸借契約」とは別のものです。したがって、主債務者に生じた事情が保証契約に影響を与えることは無く、主債務者が死亡してもその連帯保証人としての義務が消滅することはありません。

借り主(主債務者)が債務を完済すれば保証債務も消滅します(消滅における付従性)。しかし、主債務者が死亡してもその債務が消滅することは無く、そのまま法定相続人に引き継がれます。よって、連帯保証人の責任には変わりが無く、主債務者の相続人とともに債務の支払い義務を負うことになります。

よって、相続放棄したとすれば、主債務者としての地位を相続することは無くなりますが、連帯保証人としての地位には変わりが無いというわけです。