法定相続人に当たる人が誰もいないとき、亡くなられた方の財産は誰が相続することになるのでしょうか。相続人の存在、不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をした結果、相続人がいなくなった場合も含む)には、利害関係人などの申立てにより、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。

そして、相続債権者などへの弁済や、特別縁故者への財産分与をおこなっても財産が残った場合には、その財産は国(国庫)に引き継がれることになります。ただし、相続人が不存在の場合であっても、生前に遺言をしておくことで、自らの財産を自分の望み通りに処分することが可能となります。

少し前の記事ですが、相続人不存在の場合の実例について書かれた記事です。かなり特殊な事例ではありますが、今後の遺産相続のあり方を考える上で参考になります。もしも、相続人不存在の場合で、遺言などによる対策をしていなければ、最終的には遺産が国庫に帰属するわけですが、その額は増加の傾向にあるとのことです。

相続人が誰もいない!(2013年2月19日付 日経ビジネスオンライン)
「歳入決算明細書」(2010年)によると、相続人不存在によって国庫に納められた金額は、約261億7000万円にも上るという。少子高齢化や、晩婚化によって、この相続人不存在が今後、ますます増えていくことが予想される。

相続人が不存在ではなくとも、配偶者も子もいない場合には、兄弟姉妹(または、その代襲相続人)が相続人となります。兄弟姉妹に財産を残すのが良いのか、もしくは記事中にあるように「社会に還元する」ことを望む方もいるでしょう。

今後は晩婚化よりさらに進んで、生涯独身の人の割合もますます増えていきます。誰が自分の相続人になるのか、自分の遺産をどのように処分したいのか、早いうちから考えていくことが大切だといえます。