相続放棄の申述が却下された事例

相続放棄の申述が却下された事例を掲載します(当事務所で扱った事件ではなく、判例集などに載っているものです)。実際の裁判例に解説を加えていますが、独自の解釈おこなっている箇所もあります。また、同じような事例であっても、同じ結論が出るとは限りませんので、実際に手続きをするに当たっては専門家(弁護士、司法書士)にご相談ください。

また、相続放棄の相談室を運営する、高島司法書士事務所(千葉県松戸市)へのご相談については、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧ください。

1.遺産分割協議書作成の時から熟慮期間を起算するとされた事例

静岡家庭裁判所平成9年10月20日審判です。相続放棄申述をするまでに次の事実がありました。

平成6年7月 被相続人が死亡
平成7年2月 遺産分割協議書を作成
平成9年3月 連帯保証債務の存在が発覚
平成9年4月 相続放棄申述

遺産分割協議において、申述人は土地建物の共有持分を取得しています。また、遺産分割協議書の末尾に「右記以外の一切の財産及び債務は相続人○○が相続する。」と記載されています。

その後、被相続人に2億円の連帯保証債務があることを知らされたことで、相続放棄の申述をしたのが却下されました。

裁判所により次のような事実認定がされています。

  1. 申述人は、被相続人についての相続開始時、すでに遺産として上記遺産分割協議の対象となる不動産等の財産が存在していたことを知っていた。
  2. 遺産分割協議書の末尾に「右記以外の一切の財産及び債務は相続人○○が相続する。」と記載されており、被相続人についてなんらかの債務の存在があったことも知っていた。

そして、下記のような判断を示した上で、相続放棄の申述を却下する審判をしています。

本件申述については,申述人らは,被相続人について,前記の積極財産及びなんらかの消極財産が存在することを認識していたといわざるをえない。そうすると,遅くとも前記被相続人にかかる遺産分割協議書作成の時から,相続放棄の熟慮期間を起算すべきことになり,前記起算時期から3か月以内に相続放棄をしなかったのが,被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり,かつ,そのように信ずるについて相当な理由があるとはいえない本件においては,申述人の本件申述を受理することはできないといわざるをえない。

この事例では、遺産分割協議の時には、「積極財産及びなんらかの消極財産が存在」することを認識していたことを根拠にして、「遅くとも遺産分割協議書作成の時から、相続放棄の熟慮期間を起算すべき」としています。

なお、被相続人が連帯保証をしたことは申述人に伝えておらず、また、遺産分割の協議の際にも知らせていませんでした。したがって、遺産分割協議書に「なんらかの消極財産」と記載されていたとしても、申述人が上記連帯保証債務の存在を知ることはできなかったと考えられます。

そうであれば、遺産分割協議書へ「右記以外の一切の財産及び債務は相続人○○が相続する。」と書かれていたことによって、相続放棄の申述を却下するとの結論が導き出されてしまったのでしょうか。上記のような書き方は、とくに債務の存在が予想される場合でなくても一般的におこなわれるものなので気になるところです。

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