相続放棄と生命保険

相続放棄をしても生命保険の死亡保険金は受け取れることが多いです。たとえば、生命保険契約において特定の保険金受取人が指定されているときには、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金を相続するわけでは無く、生命保険契約にもとづいて保険金受取人としての固有の権利により受け取るからです。

1.相続放棄すると生命保険金は受け取れないのか

相続放棄すると生命保険金は受け取れないのかについては、保険契約または約款などにより、保険金受取人がどのように定められているかにより結論が異なります。以下、3つのケースについて解説します。

1-1.特定の保険金受取人が指定されているとき

生命保険契約において、特定の保険金受取人が指定されているときには、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金を相続するわけでは無く、生命保険契約に基づき、保険金受取人としての固有の権利により受け取るからです。

1-2.保険金受取人が相続人となっている場合

生命保険契約で特定の保険金受取人が指定されておらず、約款などにより保険金受取人が相続人となっている場合も、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。

この場合の本件保険金請求権は、保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人の固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているとされます。相続財産では無いから、相続放棄しても受け取ることができるわけです。下に引用する、福岡高等裁判所宮崎支部平成10年12月22日決定が参考になります。

保険金受取人を相続人とする条項は、被保険者が死亡した場合、被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解すべきであり、この約款に基づき締結された本件保険契約は、保険金受取人を被保険者の相続人と指定した場合と同様、特段の事情のない限り、被保険者死亡の時におけるその相続人のための契約であると解するのが相当である(最高裁第2小法廷昭和48年6月29日判決・民集第27巻第6号737頁)。

そして、この場合の本件保険金請求権は、保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人の固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているものと解すべきである(最高裁第3小法廷昭和40年2月2日判決・民集第19巻第1号1頁)。

1-3.保険金受取人が被相続人となっている場合

生命保険契約または約款により、被相続人が保険金受取人となっているときには、相続放棄をすれば保険金を受け取ることはできません。この場合には、被相続人の保険金請求権を相続することにより、保険金を受け取る権利を持つことになるからです。

2.住宅ローンと団体信用生命保険

住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険に加入していることが多いです。ほとんどの民間金融機関(銀行など)では、団体信用生命保険への加入が住宅ローン融資の条件となっています(住宅金融支援機構のフラット35では任意)。

団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローン支払中の債務者が死亡した場合には、保険会社から支払われる保険金で住宅ローンが完済されます。そのため、住宅ローン債務を相続人が引き継ぐことはありませんから、住宅ローンについては相続債務として考慮する必要はありません。

団体信用生命保険では、債権者である金融機関が保険契約者および保険金受取人で、債務者(被相続人)は被保険者となっています。そのため、相続人から金融機関に対して住宅ローン債務者の死亡の事実を伝え、死亡診断書などの必要書類を提出すると、金融機関に対して保険金が直接支払われます。

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相続放棄の相談室は、松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所が運営しています。当事務所は2002年2月に千葉県松戸市で開業して以来、相続放棄やその他の遺産相続手続きを多数取り扱ってまいりました。

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