相続放棄の必要書類

相続放棄の必要書類は、申述人(相続放棄をする方)と被相続人の関係(続柄)によって異なります。

たとえば、被相続人の配偶者や、子が相続放棄する場合には、それほど多くの戸籍謄本などは必要となりません。具体的には、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本被相続人の除住民票相続放棄する方の戸籍謄本の3点のみで足りるのが通常です。

ところが、被相続人の直系尊属、兄弟姉妹などが相続放棄の手続きをする際には、必要書類の収集だけでも大変な手間がかかることもあります。これは先順位の順位の相続人が存在しない(または、先順位相続人の全員が相続放棄している)ことを明らかにする必要があるからです。

なお、司法書士に相続放棄の手続きを依頼すれば、必要書類の収集もすべて司法書士に任せることができます。そのため、ご依頼者が必要書類の詳細を知る必要は無いのですがご参考のために解説します。相続放棄の手続きをご検討の方は、相続放棄の基本のページを最初にご覧ください。

1.すべての申述人に共通の提出書類など

(1) 相続放棄申述書書式 :PDF形式

(2) 被相続人の住民票除票(または、戸籍附票)

(3) 申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本

(4) 収入印紙(800円)

(5) 切手(82円×3枚程度)

※必要な切手は裁判所により異なりますから事前に確認します。

※必要書類についての注意事項

戸籍謄本などが同じ場合には1通で足ります。たとえば、被相続人と申述人(相続放棄する方)が夫婦であれば、戸籍謄本は同一です。親子の場合には、未婚の子であれば戸籍謄本は親と一緒ですが、結婚すれば新たに戸籍が作成されるので、それぞれ別の戸籍謄本が必要です。

【必要に応じて提出するもの】

(6) 債務(負債)についての資料

債務(負債)の存在を、債権者からの手紙や請求書などによって知った場合にはその書面。必ずしも申立時に提出すべきものではありませんが、当事務所では司法書士が必要だと判断したものを申立時に提出しています。

(7) 上申書(事情説明書)

相続開始(被相続人の死亡)から3か月経過した後に、相続放棄の申述をするような場合に、その事情を詳しく記した書面(上申書)を申立時に提出しています。相続の開始を知った日がいつであるのかを、裁判所に対して分かりやすく説明することが大切です。

2.申述人により異なる提出書類

上記1の共通提出書類に加えて、被相続人と申述人(相続放棄される方)との関係(続柄)に応じて、次の書類が必要です。

2-1.被相続人の配偶者が相続放棄する場合

(1) 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(または、除籍謄本、改製原戸籍謄本)

2-2.被相続人の子(または、その代襲相続人)が相続放棄する場合

(1) 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(または、除籍謄本、改製原戸籍謄本)

【申述人が代襲相続人である場合のみ】

(2) 被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

申述人が代襲相続人である場合、被代襲者が死亡した記載のある戸籍謄本に加え、代襲者と被代襲者がが一緒に載っていた当時の戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本も必要です。

※代襲相続人とは

代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった子が、相続開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときなどに、その子(被相続人の孫、ひ孫など)が代わって相続することです。この代襲相続により相続人となった人(孫、ひ孫)を代襲相続人といいます。代襲相続は、兄弟姉妹が相続人であった場合にも生じます。

2-3.被相続人の直系尊属が相続放棄する場合

直系尊属(父母、祖父母)は、被相続人の子に次ぐ第2順位の相続人です。子が相続放棄したことによって直系尊属が相続人となり、その相続放棄をする場合、子の相続放棄の際に提出済の書類は不要です。

(1) 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)が相続人となるのは、被相続人に子(または、その代襲相続人)がいないか、または、子の全員が相続放棄している場合です。そこで、被相続人の子の全員の存在およびその生死を明らかにするために、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本などが必要となるのです。

【被相続人の子(または、代襲相続人)で亡くなっている方がいる場合】

(2) 子(または、代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

被相続人の子(または、その代襲相続人)で亡くなっている方がいる場合、その代襲相続人の全員(または、代襲相続人がいないこと)を明らかにします。そのため、被相続人の亡くなっている子(または、その代襲相続人)についての、出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本などが必要となるのです。

【被相続人の直系尊属に亡くなっている方がいる場合】

(3) その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本などが必要なのは、申述人(相続放棄する方)より下の代の直系尊属が亡くなっている場合です。たとえば、被相続人の祖母が申述人となる場合、祖母より下の代である、父母の死亡の記載のある戸籍謄本等が必要です。被相続人の祖母が相続人となるのは、下の代である父母がいずれも死亡している場合に限られるからです。

2-4.被相続人の兄弟姉妹(または、その代襲相続人)が相続放棄する場合

被相続人の子、直系尊属などが相続放棄したことによって兄弟姉妹が相続人となり、その相続放棄をする場合には、子、直系尊属の相続放棄の際に提出済の書類は不要です。

(1) 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

(2) 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

被相続人の兄弟姉妹が相続人となるのは、先順位相続人である、被相続人の子(または、その代襲相続人)および直系尊属がいない(または、その全員が相続放棄している)場合です。そこで、先順位相続人である子や直系尊属の存在およびその生死を明らかにするために、上記のとおり数多くの戸籍謄本などが必要になるのです。

【被相続人の子(または、代襲相続人)で亡くなっている方がいる場合のみ】

(3) 子(または、代襲相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

【申述人が代襲相続人(おい,めい)の場合のみ】

(4) 被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)

申述人が代襲相続人である場合、被代襲者が死亡した記載のある戸籍謄本に加え、代襲者と被代襲者がが一緒に載っていた当時の戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本も必要です。

※代襲相続人とは

代襲相続とは、本来ならば相続人になるはずであった兄弟姉妹が、相続開始(被相続人の死亡)前に死亡しているときなどに、その兄弟姉妹の子(被相続人のおい、めい)が代わって相続することです。この代襲相続により相続人となった人(おい、めい)を代襲相続人といいます。代襲相続は、子、孫が相続人であった場合にも生じます。

3.必要書類についての解説

3-1.同一(共通)の戸籍謄本等がある場合

提出する戸籍謄本等が同一(共通)のものの場合、1通のみを提出すれば足ります。たとえば、被相続人が夫、申述人(相続放棄をする人)が妻の場合、戸籍は同じものですから1通を提出すればよいということです。

また、先順位の相続人がすでに提出している、被相続人の除籍謄本や除住民票などについても、後順位者が相続放棄の申立てをする際には提出不要です。

3-2.戸籍謄本について

現在では多くの自治体で戸籍がコンピュータ化されています。この場合、戸籍に関する証明書の名称が「戸籍謄本」から「戸籍全部事項証明書」に変わっています(戸籍全部事項証明書の末尾には「これは、戸籍に記載されている事項の全部を証明した書面である。」というような記載がされています)。

なお、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は、戸籍に記載されている方全員分の証明であり、戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)とは、戸籍に記載されている方のうち一部の方を証明するものをいいます。

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