3か月経過後の相続放棄申述をする際に提出した上申書(事情説明書)の例です。実際に使用したものをベースにしており、すべて申述が受理されたものを掲載していますが、個人情報保護のため修正を加えています。
申立てをする際の参考にしていただいて差し支えありませんが、同様の事例にみえても受理されるとは限りませんし、当事務所では結果について一切の責任を負いかねます。
相続放棄の相談室は、松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所が運営しています。当事務所へのご相談については、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧ください。千葉県松戸市の当事務所までお越しになるのが難しい方のために、メールによるご相談を前提とする全国対応の相続放棄手続、有料メール相談も承っております。
・上申書・事情説明書の記載例(1・2・3・4)
16.申述人を被告とする訴状の送達
17.市役所からの通知
18.県税事務所からの通知で先順位者の放棄を知った
19.事業の連帯保証債務
20.市からの納税義務承継通知書
21.債権回収会社(サービサー)からの債務免除通知
16.申述人を被告とする訴状の送達
申述人○○は、被相続人○○と私との間の子です。
被相続人と私は、平成○年○月○日に協議離婚しました。その際、私が申述人の親権者となりました。また、養育費等の金銭の授受はしない代わりに、私および申述人と今後一切の関わりを持たないことを約束しました。
平成○年○月○日に被相続人が亡くなりました。その事実は、被相続人との共通の知人から知らされました。
私は、申述人を連れて告別式に参加しました。その際、被相続人の両親と顔を合わせましたが、債務の存在を含め、被相続人の遺産についての話が出ることはありませんでした。その後は、被相続人の両親と直接連絡を取ったことは一度もありません。
また、離婚後は、私と被相続人との交流は全くなく、加えて、被相続人は再婚していたようなので、私が相続財産の内容を調べることは不可能でした。けれども、婚姻期間中にはさしたる財産も負債も存在していませんでしたし、上記のとおり、相続開始後に被相続人の両親から債務の存在を知らされることもありませんでした。
上記のような状況でしたから、被相続人には、積極消極いずれの財産も存在せず、相続放棄が必要だとも全く考えていませんでした。
ところが、平成○年○月○日、申述人を被告とする訴状が届きました。そして、私が内容を確認したことで、相続債務が存在する可能性があることをはじめて知りました。もしも、そのような事実を、相続開始時に知っていたとすれば、すぐに相続放棄していたはずです。
よって、申述人にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、上記訴状送達がされた時である、平成○年○月○日です。
17.市役所からの通知
私が、父である被相続人○○が死亡した事実を知ったのは、平成○年○月○日付けの○○市○○課からの通知を受け取った、同年○月○日のことです。上記通知を受け取るまで、父の死亡の事実を知らなかったのは、次のような理由によります。
昭和○年○月に父母が離婚しました。その際、母が私の親権者と定められ、その後は母と一緒に生活していました。その後、昭和○年頃に父と顔を合わせる機会がありましたが、それ以降は全く連絡を取ることがなく消息も不明の状態でした。
平成○年○月、父が入院しているらしい病院から突然電話がありました。家賃や入院費の支払いができずに滞納しているので、代わりに支払ってもらえないかとの内容でした。そこで、それまでの滞納分はやむなく支払いましたが、それ以降の援助はできないと伝えました。
その後は、何年もの間まったく連絡が入ることもなかったのが、上記の通り○○からの通知により父の死亡した事実を知りました。よって、私にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、上記通知により被相続人の死亡の事実を知った時である、平成○年○月○日です。
このような次第ですから、私は被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。
18.県税事務所からの通知で先順位者の放棄を知った
被相続人○○は私の弟ですが、20年くらい前から一切連絡を取っておりませんでした。そのため、どこで暮らしているのか、どんな生活をしているのかもまったく知らずにいました。
平成○年○月○日、○○県の県税事務所から届いた文書を見たことで、弟が亡くなっていることを知りました。その後、○月○日に上記県税事務所に電話をして担当者から話を聞いたことによって、弟の子達が相続放棄したために、私が法定相続人となっていることを知りました。
したがって、私にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」は、上記の経緯により、先順位者が相続放棄した事実を知った時である、平成○年○月○日です。
なお、現在判明している被相続人の債務は、上記県税事務所から請求のあった自動車税のみですが、弟とは20年もの間まったく交流が無かったのですから、他の債務の有無を調べることは不可能です。
このような次第ですから、私は、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。
19.事業の連帯保証債務
被相続人AおよびBは、申述人の父母です。父Aは、建築業(甲建設株式会社)を営んでいましたが、平成○年頃に、長男であるC(申述人の弟)へ事業を承継し引退しています。ただし、それ以前から父が亡くなる後まで、私が弟と連絡を取り合うことは一切ない状態だったため、当時は事業の状況などを知る機会は全くありませんでした。
平成○年○月○日に父が亡くなったときには、財産といえるようなものは新築から30年以上が経過した自宅家屋のみでした。それ以外には資産も負債も無いものと考えていたため、相続放棄が必要だとは考えていませんでした。なお、父の遺産相続手続きの際には、上記家屋を母Bが相続するとの遺産分割協議書へ署名押印したのみで、私は一切の財産を相続していません。
その後、母は、父から相続した家屋および自らが所有していた土地を生前に売却し、弟の事業資金に充ててしまっていました。そのため、平成○年○月○日に母が亡くなったときには、相続できるような財産は何もありませんでした。母には、上記以外に資産も負債も無いものと考えていたため、相続放棄する必要があるとはまったく考えておりませんでした。
ところが、平成○年○月○日、弟より、同人が代表取締役となっている上記甲建設株式会社の借入金債務について、父母が連帯保証人となっていたことを聞かされました。事情を聞いてみると、上記会社はすでに事業を停止しており、弁護士へ破産手続を依頼しているとのことです。
破産申立てをした後には、連帯保証人であった父母の相続人である私に、債権者からの請求が行く可能性があるので、相続放棄をしておいた方が良いと、弁護士から言われたとのことです。そこで、平成○年○月○日、弟から私に対し、父母の連帯保証債務の存在が知らされるに至ったのです。
私は、弟が事業を承継した時点で、父母の事業への関与は無くなっているとの認識を持っており、父母が連帯保証人になっているとは全く考えておりませんでした。それが今になって多額の連帯保証債務があることを知ったわけです。もしも、私が、相続開始時にその存在を知っていたとしたら、間違いなくすぐに相続放棄していました。
よって、私にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、弟からの連絡により連帯保証債務の存在を知った時である、平成○年○月○日です。このような次第ですから、私は、被相続人AおよびBの相続を放棄することを申述いたします。
20.市からの納税義務承継通知書
平成○年○月○日、私の父である被相続人○○と、母が離婚しました。その後は、母も私も、父とは一切連絡を取っておらず、どこでどんな生活をしているかまったく知らずにいました。
平成○年○月○日に父が亡くなった後、警察から電話がありました。その際、父が亡くなったことを知らされるとともに、相続人である私に遺体を引き取る意思はあるかと確認されましたが、引き取るつもりはないと答えました。
警察との話はそれだけで終了し、死亡時にどこに住んでいたかなどの情報を知らされることもありませんでした。そのため、父の財産状況を調査することは不可能でしたが、とくに負債があるとは考えておらず、相続放棄が必要だとは思っていませんでした。
ところが、平成○年○月○日に、○○市からの平成○年○月○日付け「納税義務承継通知書」を見たことで、父が税金を滞納していたことを知りました。
したがって、私にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」は、上記債務の存在を知った時である、平成○年○月○日です。このような次第ですから、私は、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。
21.債権回収会社(サービサー)からの債務免除通知
申述人である私○○は、被相続人○○の子です。父が亡くなったのは、平成○年○月○日です。病気(○○)による突然死でした。
当時、父は母と夫婦2人で生活しており、夫婦の収入は年金のみでした。そのため、父が亡くなった時には、銀行預金が約○万円あっただけで、他にはとくに財産がありませんでした。
また、負債の存在を伺わせる事情もとくに無かったため、相続放棄する必要があるとは全く考えていませんでした。実際、父の亡くなった後に、督促状などが届くこともありませんでした。
ところが、平成○年○月○日に、私が母の住むアパートへ行ったとき、父宛ての封書が届いているのを知らされました。亡くなってから○年ほどが経ち、父への郵便物が届くことも最近はありませんでしたから、気になってすぐに開封してみました。
そして、○○債権回収株式会社からの、平成○年○月○日付の通知書「債務免除についてのご提案書」を見たことにより、父の債務の存在を知りました。
債権譲渡人として書かれている、○○株式会社の名前に、私たち家族の誰もが全く心当たりがありません。そもそも、そのような債務の存在を知っていたならば、父の死後すぐに相続放棄していたことは間違いありません。
したがって、私にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」は、上記債務の存在を知った時である、平成○年○月○日です。このような次第ですから、私たちは、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。
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