上申書・事情説明書の記載例(その3)

3か月経過後の相続放棄申述をする際に提出した上申書(事情説明書)の例です。実際に使用したものをベースにしており、すべて申述が受理されたものを掲載していますが、個人情報保護のため修正を加えています。

申立てをする際の参考にしていただいて差し支えありませんが、同様の事例にみえても受理されるとは限りませんし、当事務所では結果について一切の責任を負いかねます。

相続放棄の相談室は、松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所が運営しています。当事務所へのご相談については、ご相談予約・お問い合わせのページをご覧ください。千葉県松戸市の当事務所までお越しになるのが難しい方のために、メールによるご相談を前提とする全国対応の相続放棄手続有料メール相談も承っております。

・上申書・事情説明書の記載例(・3・

11.連帯保証債務の発覚

12.税務署からの通知で先順位者の放棄を知った日

13.弁護士からの遺産分割協議の書類

14.アパートの賃貸借契約の連帯保証

15.弁護士(○○法律事務所)からの通知書

11.連帯保証債務の発覚

今回、相続放棄申述をする、私○○および弟○○は、被相続人である母○○の子です。

母は、父○○とともに○○県○○市の住宅(貸家)で暮らしていました。平成○年○月○日、母が亡くなりました。この時点では、母には、私たちが相続すべき財産はとくに無いと考えていました。

同年○月○日、父が○○で倒れ入院しました。その後、○月○日より、父母が暮らしていた上記住宅で、弟夫婦が暮らすようになりました。

同年○月頃、Aという聞いたことのない会社名を名乗る人から電話がありました。父は入院していると伝えると、直接本人に話をするので、退院してから連絡をくれれば良いといわれました。このときは、用件を聞こうとしても、本人に伝えてもらえば分かるとしか答えてくれなかったとのことです。また、上記の電話を受けた時点では、父に借金があることを全く知りませんでした。

後日、父の見舞いに行ったときに、Aという会社から電話があったと伝えたところ、借金があることを聞かされました。ただし、あくまでも父の借金であるとの認識であり、母が契約の当事者になっていることは知らされませんでした。

この頃までに、父は何とか意思疎通が出来るくらいに回復していましたが、くわしい事情等を聞くのは困難でした。また、それ以上のことを聞き出そうとしても、おまえたちには関係の無いことだから、首を突っ込むなと言われ何も教えて貰えませんでした。

平成○年○月○日に父が退院しました。そこで、Aへ連絡をしなければならないと考え、自宅の中を探してみたところ、「A債権回収株式会社」との「和解契約書」を見つけ出しました。

それにより、「A」が、A債権回株式会社であることが分かりました。病気の後遺症により父が自分で電話をするのは困難だったので、私が電話をしてみたところ、約定の残元本が約○万円であることが判明しました。

このときは、上記和解契約において母が負うべき義務、また、その義務を誰が引き継ぐのかは良く分かりませんでしたが、契約書に母の名前が書いてあることは認識していました。

○月○日、和解契約書を持って弁護士に相談をしました。これにより、母が連帯保証人になっていること、そして、子である私たちが母の連帯保証債務を相続すること、及びその債務を引き継がないためには相続放棄する必要があることを知りました。

上記の事情により、私たちにとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」は、最も早かったとしても、上記和解契約書を見つけ出して、母の債務の存在を知った時である、平成○年○月○日です。

このような次第ですから、私たちは、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。

12.税務署からの通知で先順位者の放棄を知った日

私は、被相続人○○の弟です。被相続人が亡くなったのは死亡の当日に知っており、葬儀にも出席しておりますが、同人には子が3人いるので私が相続人になることはないと考えていました。

ところが、○○税務署から平成○年○月○日付の通知書が送られてきたことで、私が相続人となっている可能性があることを知りました。

そこで、被相続人の子である○○と連絡を取ったところ、被相続人の子全員がすでに相続放棄しており、私たち被相続人の兄弟姉妹(および、その代襲者)が相続人になっているのを初めて知りました。

よって、私にとっての「相続の開始を知った日」は、先順位者が放棄したことを知った日である、平成○年○月○日です。このような次第ですから、私は、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。

13.弁護士(○○法律事務所)からの遺産分割の書類

被相続人○○は私の母です。私が小学○年生の頃に父母が離婚して以来、母とは一度も会っていません。そのため、どこで暮らしているのか、どんな生活をしているのかも全く知りませんでした。

平成○年○月○日付の、弁護士(○○法律事務所)から送られてきた書類を見ると、母が亡くなったとの記載がありました。母が亡くなり遺産分割をするので、相続である私に協議への協力を求めるとの内容です。

すぐに、父へ電話をしてみたところ、父も、母が亡くなったことを知りませんでした。そこで、父から、母の実家へ連絡を取ったことで、母が亡くなったのが事実であることを確認しました。

したがって、私にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」は、上記通知が自宅に届いた日である、平成○年○月○日です。

上記通知によれば、母は債務超過であるわけでは無く、私が相続できる財産もあるようです。しかし、知らされている遺産以外の債務等の有無を調べる術がありません。そして、私は結婚して安定した生活を送っていますから、○年以上もの間まったく交流のなかった母の遺産を相続するつもりはありません。

このような次第ですから、私は、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。

14.アパートの賃貸借契約の連帯保証

この度、相続放棄申述をする、私○○は被相続人の妻です。また、○○、および○○は、私と被相続人との間の子です。夫は、自営で○○業を営んでいましたが、亡くなる2年前くらい前に癌が発覚し、その後は入退院を繰り返していました。

そのため、仕事ができない時期も多く、また、治療費もかさんだため、亡くなったときに保有していた財産は現預金合わせて約○万円のみでした。このお金は、医療費等の支払いに当てたため、相続できる財産は一切ありませんでした。

また、このときは、夫に保証債務があるとは知りませんでした。そのため、夫には積極、消極いずれの財産も存在しないので、相続放棄が必要だとは全く思っていませんでした。

平成○年○月○日の朝、被相続人に宛てた電話が自宅へかかってきました。電話に出た私が、夫は亡くなったと伝えたところ、相続放棄をしているかと聞かれました。

そのような手続きはしていないと答えると、夫が連帯保証人になっていたので、私たち相続人に支払義務があると伝えられました。そこで、子どもたちへもすぐに連絡をしましたが、夫が連帯保証人になっている事実は誰も知りませんでした。

さらに、電話があった翌日、「ご案内」との文章が届きました。これを見たことにより、夫がアパートの賃貸借契約についての連帯保証人になっていたこと、および保証債務の金額が判明しました。

そこで、管理会社である株式会社○○に電話をし、夫が連帯保証人になっていることがわかる資料が欲しいと伝え、賃貸借契約書を送ってもらいました。賃貸借契約書の連帯保証人欄に書かれた署名はたしかに夫のものでした。しかし、賃借人である○○さんのことは、何となく名前を知っている程度で、夫が連帯保証人になっているとは予想すらできませんでした。

そのため、家賃の滞納が生じたことで、今回の請求がなされるまで、保証債務の存在を知ることは不可能だったといえます。上記の事情により、私および子たち3人にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、上記通知により相続債務の存在を知った時である、平成○年○月○日です。

このような次第ですから、私たちは、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。

15.弁護士(○○法律事務所)からの通知書

被相続人○○は、申述人である私○○および、弟○○の父です。父とは、昭和○年に父母が離婚してからは、一切連絡を取っておりませんでした。

平成○年○月に父が亡くなった後、私たち兄弟と全く面識のなかった叔父からの依頼を受けた司法書士より、父名義の土地、建物の名義変更についての書類が送られてきました。

私たち兄弟は、父名義の財産を引き継ぐつもりなど全くありませんでしたから、必要書類の提出に応じました。書類の控えは取っていませんが、遺産として書かれていたのは不動産のみで、その他の財産については何も記載がありませんでした。

よって、不動産以外の財産の有無は不明でしたが、とくに債務があるとも知らされなかったので、相続放棄の手続が必要だとは全く考えていませんでした。私たち兄弟としては、父の遺産の処理はそれで完了したとの認識でした。

ところが、平成○年○月○日、私たち兄弟それぞれに、弁護士(○○法律事務所)からの通知書が届いたことで債務の存在を知りました。もしも、相続開始時に父の債務の存在を知っていたとすれば、私たちはすぐに相続放棄していたはずです。それが、今になって通知が届いたことで、債務の存在を知ったわけです。

よって、私たち兄弟にとっての、相続放棄の熟慮期間の起算点である「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、弁護士からの上記通知により相続財産の存在を知った時である、平成○年○月○日です。このような次第ですから、私たちは、被相続人○○の相続を放棄することを申述いたします。

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相続放棄の相談室は、松戸駅徒歩1分の高島司法書士事務所が運営しています。当事務所は2002年2月に千葉県松戸市で開業して以来、相続放棄やその他の遺産相続手続きを多数取り扱ってまいりました。

3ヶ月経過後の相続放棄についても豊富な経験がありますから、他で断られてしまったような場合でもすぐに諦めることなく当事務所へお問い合わせください(とくに3ヶ月経過後の相続放棄については、家庭裁判所への申立てをする前にご連絡ください)。

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ご相談は予約制ですので、必ず事前にご連絡くださるようお願いいたします。また、当事務所について詳しくは、松戸の高島司法書士事務所ホームページをご覧ください。

松戸の高島司法書士事務所

高島司法書士事務所

司法書士 高島 一寛

千葉司法書士会 登録番号第845号

簡裁訴訟代理関係業務 認定番号第104095号

(略歴)

1989年 千葉県立小金高等学校卒業

1993年 立教大学社会学部卒業

2000年 司法書士試験合格

2002年 松戸で司法書士事務所開設

『相続放棄の相談室』ホームページを運営する千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)は2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログからお問い合わせくださった個人のお客様からのご相談を多数うけたまわってまいりました。

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